日本橋モラロジー事務所

NIHOMBASHI

MORALOGY

 

曽根惠子さんの『明るくなれる生活アドバイス』

Vol.33 生きているうちに伝える価値がある(2023.4)

 私の父親は70代で病を発症し、入院、手術をしました。手術は成功、1か月程度で退院できるとわかったのですが、付き添いの病室で父親を励ましたいと自費出版を思いつきました。妹、弟と連名で3人の子どもが父親のために作る本です。父親がつけていた家族の年表記録があり、それをもとに家族の歴史をまとめました。父親と親交のある24名の方々からも励ましのメッセージを頂き、父親本人もこれからを生きるための決意を書いてくれました。本のタイトルは父親が毛筆で書いて張っていた「意なく必なく固なく我なし・神様に必要な人間になるために」としました。亡くなってからの出版よりは生きているうちに親子で協力して本にできたことは父親だけでなく、家族も記念となり、周りの方々にも喜んで頂けたのです。生きているうちにすること、伝えることは大事だと痛感しました。いまでも大切な一冊として励みになっています。

Vol.32 親子、家族がキーワードく(2023.2)

親が死ぬ前に、家族とやりたい10のこと」(共著・クロスメディア)は親子で考える相続の本。また「親が元気なあいだに子どもがヒアリングしながら書く相続ノート」(監修・秀和システム)は子どもが親にヒアリングしながら活用するノート。ともに親子、家族がキーワードとなっています。  その背景として、親子で話す機会が減っていて家族で意思の疎通がとれない現実があるからです。そうした家族関係が相続トラブルを引き起こし、手続きも難航して大変なことになりかねません。両書とも、これからの時代に必要なコンセプトだと共感し、執筆、監修をさせて頂きました。 当然、様々な家族があり、活用の仕方も取り組み方もおひとりずつ違うことでしょう。 この本やノートを活用して、親子で気持ちを共有したり、確認したりする機会を持って頂くことを願っております。夢相続もサポートさせて頂きますのでご相談下さい。

Vol.31 土地の共有を分けるのに費用がかかる!(2023.1)

Nさん(70代・女性)きょうだいはひとつの敷地に自分たちの家を建てて住んできました。母親と長男家族が住む家が角地で80坪、真ん中が長女家族で50坪、左角には次男家族で50坪。父親が亡くなった時には母親と子供たちが法定割合で相続し、そのまま土地全体を共有しました。母親が亡くなった時に、いよいよ分けようと利用に合わせて土地を分筆して、共有を解消、単独名義にすることになりましたが、分筆せずに全体を共有していたばかりに、共有解消の等価交換が必要となり、分筆、交換登記に余分な費用がかかってしまったのです。 等価で交換できると交換差益の譲渡税はかかりませんが、登記費用が倍上も余分にかかり、他に測量、分筆などの費用がかかります。家を建てるときから分筆して、共有せずに、単独で相続することが望ましかったと言えますので、土地の共有はしないほうが賢明でしょう。

Vol.30 夫が急死。子どもは未成年。(2022.12)

Sさんの夫は50代で、出張先のホテルで倒れ、そのまま亡くなってしまったのです。心筋梗塞でした。相続人はSさんと中学生の息子さんの2人ですが、未成年だと遺産分割協議ができません。親も相続人の場合は利益相反となり、代理人になれないため、家庭裁判所に「未成年者の特別代理人」を選任してもらう必要があります。特別代理人は、祖父母や叔父叔母などの親族がなれますので、Sさんは夫の両親に引き受けてもらうようにされました。孫のためにと祖父母は快く引き受けてくれて、印鑑証明書や実印押印の協力をして頂けました。夫名義の自宅にはまだローンが残っていましたが、団体信用生命保険が下りてローンの返済ができ、返済の不安はなくなったのです。現役の会社員でしたので生命保険や退職金も受け取ることができ、預金や家の名義替えなどの相続手続きもできたことでSさんは少しほっとされたのでした。

Vol.29 借地の理不尽く(2022.11)

Nさん(60代男性)は1人暮らしをしていた母親が亡くなり、実家を相続しました。25坪の土地ですが、借地で毎月3万円の地代を支払います。借地は20年ごとの契約で更新料も必要。建て替えや譲渡する場合も地主の承諾が必要で、承諾料も支払わなければなりません。Nさんは建て替えるのではなく、第三者に譲渡したいと地主に打診をしましたが、他人に売ることは認めないという回答。それで困ったと相談に来られたのでした。 地主が承諾をしない場合、家庭裁判所に「賃借権譲渡許可」の申立てをすることもできますが、住まない場合は許可されない可能性の方が高いため、地主に底地を買い戻してもらうことが無難だと判断。借地権評価の半分程度の価格で売買契約が設立したのでした。 それでもNさんは地代の支払いが無くなり、すっきりしたとほっとされていましたが、土地の所有権がない借地の理不尽さを痛感した事例となりました。

Vol.28 登記法が改正された(2022.10)

Yさん(60代・女性)は3人きょうだいの長女。妹と弟がいます。父親は15年前に、母親が8年前に亡くなりました。実家は空き家のまま、相続手続きをせずに8年が過ぎました。ところが、今年4月に不動産登記法が改正され、相続から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付けられ、怠ると10万円以下の過料が科されます。違反すると困ると3人で相談にこられました。実家は売却して3等分にしたいといいます。手続きを簡便にするため、遺産分割協議書には不動産は代表でYさんが相続し、妹、弟には代償金を支払う形を提案しました。売却時の経費を引いた残りを等分にするため等分になります。売却後にYさんから妹、弟に分配するお金は相続の代償金であり、贈与税はかかりません。これで安心できるとYさんたちは手続きを進められました。いままで期限がなかった相続登記は3年以内となり、注意が必要です。

Vol.27 家族間の信頼が救いになる(2022.9)

Rさん(40代女性)の独身の兄が心筋梗塞で亡くなり、両親が相続することになりました。兄は預金や株などの金融資産はスマホで管理をしていると資産管理アプリを見せてもらったことがあり、金融資産は全部登録して、管理していることは知っていました。幸いスマホのパスワードも聞いていたことから入ることができ、兄の預金や投資信託、株などを相続するめどがついたのでした。兄はひとり暮らしをしていましたので、財産の内容を確認することは大変な作業になるところでした。けれども自分の金融資産を資産管理アプリでひとまとめにしてあった兄の几帳面さがあり、手間がかからずに本当に助かったと言えます。それを妹のRさんが聞いていたことも幸いで、兄がRさんのことを信頼していたからこそでしょう。突然の不幸な出来事ではありますが、家族の信頼が、家族の救いになるということをあらためて痛感した次第です。

Vol.26 夫婦でも考えが違う(2022.8)

Fさん(女性)は70代。同年代の夫とともに二人の子どもの子育てをしながら衣料品関係の会社を創業して30年。会社は順調に成長し、数年前に子どもに事業承継もでき、ご夫婦ともに相続税がかかる財産を残せたといいます。  悩みは夫婦の足並みが揃わないこと。Fさんは夫婦ともに対策をして不安がないようにしておきたいのですが、夫は「自分の財産は自分で好きなように使う、自分が亡くなったら好きなように」と。Fさんや子どもたちのアドバイスには耳を傾けようとしません。そこでFさんの財産は二人の子どもが等分に相続し、夫に渡すものはないという公正証書遺言を作成することをお勧めしました。Fさんも、2人の子どもたちもそれがよいとなり、公正証書遺言が出来上がりました。こうした方針を決めることによって、夫を責めるのではなく、自分の気持ちが落ち着いたとFさんは安堵されたのでした。

Vol.25 家族が集まる機会(2022.7)

Yさん(50代女性)は3人きょうだい。妹と弟がいます。80代の両親は祖父の代からの米屋を切り盛りし、少しずつ不動産を購入して増やしてこられました。家業は弟が手伝ってきており、法人の代表者は父親から弟に変わりました。同居する弟は独身。経営する家業で手いっぱいで、これからの両親の相続のことまでサポートする余裕はなさそうです。Yさんと妹は不安に思い、半年ほど前から両親の対策をしておきたいと、毎月、日程を決めて集まり、家族会議を開き、両親の財産の確認から始めたと言います。いままでなんとなくしかわかっていなかった財産が明確になり、家族のそれぞれの思いも知ることができました。具体的な対策は本を読んで専門家のアドバイスを受けて進めるようにしました。両親の相続というテーマから家族が集まる機会ができ、協力することで家族の絆が深まったように思えて不安も解消できそうだということです。

Vol.24 99歳の遺言書(2022.6)

ひとり暮らしのSさんは99歳。夫を亡くしてから15年、息子と娘はそれぞれ自宅があり、同居をしていません。Sさんの長生きの秘訣は広い庭の手入れだと言います。毎日の日課になっていて、季節ごとに咲く花が自慢です。だからこそ、ずっと家に住み続けて、長男に相続させたいと思っています。長女には以前に別の不動産を贈与していることもあり、預金を残すようにされたので、納得してくれるはずといいます。それでももめごとにならないよう、遺言書で自分の意思を残すようにされたのです。毎週のように交代で長男家族、長女家族がSさんのもとを訪れて食事の用意などしてくれたことへの感謝とこれからも仲良くというメッセージも付け加えられました。100歳以上の時代で遺言書を使うときはまだ先になると思えますが、全員に配慮されたメッセージが家族の絆を深めるはずだと思える遺言書となりました。

Vol.23 介護する人には手厚く(2022.5)

Kさん(50代・女性)の母親は80代。3年前に父親が亡くなり、現在は自宅で一人暮らしです。Kさんは3人姉妹の真ん中で、結婚して夫と二人のこどもがいます。長女と次女は、独身で自由な暮らしをしており、母親と同居できそうなものですが、そんな気はまったくなさそうです。 いまのところ母親は元気ですが、介護が始まっても姉も妹も今まで通り協力することはなさそうです。2人の住まいは実家から2時間も離れていて、期待できないのです。母親も長女と三女のことはよくわかっていますので、老後は一番近くて毎日のように来てくれるKさんにすべてを任せるし、遺言書も作ると言う気持ちのよう。内容は、長女と三女に2割ずつの生命保険、家を含めてそれ以外のすべての財産をKさんに渡すという気持ちが固まりました。公正証書遺言にしておくことで母親も子どもたちも安心でき、もめごとも防ぐことができます。

Vol.22 老後は支え合いで(2022.4)

70代のYさん(女性)は夫を亡くして現在は自宅で一人暮らし。子どもに恵まれなかったので、ずっと仕事をしてこられました。定年後は夫婦でゆっくりしたいという希望が叶わなくなり、これからのことを考えるために「いちばんわかりやすい相続・贈与の本」を読んで相談に来られたのです。実家住まいのYさんの弟も70代でやはり独身。実家は駅から距離があり、Yさんの自宅からは1時間以上も離れていて、互いに不安だと。そこで弟がYさんのマンションに引っ越して同居すればいいのではというご質問でした。弟が同居すれば小規模宅地等の特例が使えて相続税の節税になります。それよりも不安解消のためには、実家を貸すか、売却してYさんのマンションに同居することが望ましいというアドバイスをしました。高齢になってきょうだいが支え合えることは素晴らしいなととてもほのぼのした気持ちになりました。

Vol.21 相続もハッピーエンドに(2021.11)

家族の絆を大切にほほえみ相続を実践する㈱夢相続と、相続に関する無料診断サイトを運営する㈱はなまる手帳は、「相続を前向きに考えるキャッチフレーズ」を共催募集していましたが、全国の10代から90代の方から1545作品の応募があり、次の作品が選ばれました。
【最優秀賞】「相続でしか、つなげないストーリーがある」北海道40代男性、【夢相続賞】「ハッピーエンドを共に、考える」神奈川県 30代女性、【はなまる手帳賞】「相続でつなぐ愛情 つながる家族」北海道60代女性。 いずれの作品も相続という重いテーマながら、家族のストーリーやハッピーエンド、つなぐ、つながるという前向きな言葉で作られており、あたたかい気持ちになれます。家族がハッピーエンドになれるストーリーを考えて頂き、はなまるな夢のあるお手伝いができるといいなとあらためて思いました。

Vol.20 励ましの言葉が力になる(2022.1)

私が最初に就職したPHP研究所は出版社で、松下幸之助さんの会社。松下幸之助さんがご健在の頃で、社員でお迎えするときに何度かお会いしています。PHP研究所は人を大切にするおおらかな会社で、チャレンジすることで成長する機会を得ることができました。また入退社、誕生日などには社内で寄せ書きを送り、メッセージを伝え合うことが伝統的に行われてしました。退職するときに「一生懸命というのはあなたのためにある言葉ですね」と社長からメッセージを頂いて、その言葉をずっと励みにしてきました。経営トップの方にも見てもらえていて、評価してもらえていたのだとわかり、心から感動し、感謝しました。 PHP研究所にも恩返しをしたいと退職してから約30年後の2007年にPHP研究所から1冊目の著書を出版、その後、6冊の著書を出版することができました。このように自分を励ます言葉を持ち続けることが大きな力となり、結果につながるのだと思っています。

Vol.19 子供のほうが不安!(2021.11)

相続を取り巻く現状についてのアンケートで、コロナの影響で相続対策に関する意識についても聞いたところ、意識が変わったと答えた人は親世代の50~70代は17%~19%。ところが子ども世代は30代27%、40代29%、50代25%で、どの年代も親世代を上回っている結果となっています。親世代よりは相続を受ける子ども世代のほうがこれからのことを不安に思い、何かしなければと感じているということでしょう。 相続のご相談に来られる方も親世代だけという方よりも、親子で、あるいは子どもが親の代わりにというほうが増えています。長寿社会になり、経済状況も変化していますので、今まで以上に相続の課題は増えています。子どもたちがなんとかするだろうとではうまくいきません。こうした機会に子ども世代が親をサポートしながら、親子で相続対策に取り組んでみてはいかがでしょうか?家族がコミュニケーションを取ることでいままで以上に絆も深まります。

Vol.18 親子で相続の話を!(2021.11)

相続を取り巻く現状についてのアンケートで、『親または子と相続の話をしたことがありますか?』という問いに6割以上の方がしていない回答されています。核家族化が進んでいるため、“生前対策”をしていない人がほとんどという結果がでており、なぜ、相続トラブルに発展するのかということの理由が如実に表れています。 つぎに『親または子と相続の話をしない理由は何ですか?』の問いには親子で相続の話をしたことがないという人が6割という結果。親世代は「話すほどの資産はないと思っている」ことがわかり、子ども世代は「親には話しづらい」と回答しています。 いずれにしても「対策ができていないから相続トラブルになる」ということが見えてきます。質問項目ですが、皆さまの答えはいかがでしょう?相続で家族間の争いとなり後悔しないためには親子で協力して親が元気なうちから家族で話をしておくことが必要なのです。

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